2021.2.8

ドリームチームってドラマ見たら辛くなった。高校時代、バスケ部のキャプテンだった香奈、優子、茜。世代の違う3人はそれぞれに人生の転機を迎えていた。バスケ部の恩師が亡くなり、部の寮で一緒に暮らしながら人生をやり直そうとする話。先週放送の第3話で、仕事が見つからない香奈は娘の環のために離婚を諦め、家に戻ることを決意する。しかし、どこか諦めきれない香奈は、ただで譲ってもらえるキッチンカーで仕事ができないかを考え始める。このキッチンカーは動くんだけど、屋根や配線が壊れていて修理が必要。香奈は自分では直せないから一度はあきらめたが、偶然再会したママ友が板金ができるから屋根治せるよって言ってくれたことから、キッチンカーで仕事をすることを決意する。屋根の修理も、電気配線の工事もタダでやってもらい、他の内装も知り合いのつてで安くやってもらい、いらない調理器具を譲ってもらい、産休中のデザイナーに車体のデザインも考えてもらう。優子、茜、恩師の息子のに車体の塗装を手伝ってもらう。

タイトルのドリームチームとは、恩師が思い描く理想のチームを指すもので、選手各々が得意を発揮してチームを勝利に導くという考え。茜が思いつきで、香奈に料理うまいんだからそれ仕事にすればと言い、最初は経営はそんなに甘いものじゃないと反対していた優子も、香奈が決意してからは経営のアドバイスをくれるなど協力してくれる。困ったときに周りの人が助けてくれるのは、よくある展開。そうなんだけど、中年の女性がやり直すにはここまでいろんな人に助けてもらって、タイミングよく捨てる調理器具が見つかって、ほとんどただでやってもらえて、私が社長に言えば安くなるよって言ってくれる占い師が知り合いにいないとできないなら、自分には無理だなと思ってしまった。ドラマだし、よくある展開だし、というのは分かっているんだけど、ドラマの中ではうまくいっていて、いいこととして書かれていることで、現実の辛さや難しさを一層突き付けられた。

辛い現実を思い知って見た、その女、ジルバで救われた。パワハラを疑われ、希望退職をうけいれてしまったスミレ。家族がいなくて常に一人で頑張ってきたスミレは、こういうときに人に頼ることができない。そのことをナマコから聞いた新とみか。きっと、どうしていいかわからなくて一人で悩んでいるとナマコの言葉が、一人でたたずむスミレの姿に被る。スミレの問題が解決しないうちに、今度はみかが退職届を出す。驚く新とスミレに、みかは実家に帰ると告げる。みかの送別会の後、新の部屋で飲む3人。新がみかに、不安じゃないの、どうやって決めたのと聞く。みかは、不安だけど、見栄も何もかも取っ払ってどうしたいか自分に聞いたら、実家に帰ってお母さんと暮らしたいだったと答える。でも、負けて田舎に帰るわけじゃないとも。みかは島根出身で大学進学で東京に出てきた。百貨店の管理部門に勤めていたが、40を目前に倉庫勤務に出向となる。上昇志向が強く、出世競争に負けたみかは、倉庫で働く自分を受け入れられない。新と仲良くなって、社員で仲の悪かったスミレとも仲良くなったのに、その思いは変わらなかった。職場を去る日、上司に顔見せに来いよと言われると、普通ははいって言うのかもしれないけど、もう来ることはない。東京に22年いてここでの3年は一番辛かったと答える。新は、勝ち負けにこだわらなくていいんじゃないか、こうして友達と笑っていられるだけでいいんじゃないかとみかに言う。みかもスミレも新の言葉に、うなずき仲良くなれてよかったと言い合う。シジューになってできる友達は貴重だ。しかも、3人には40なんてまだまだこれからと言ってくれる素敵な先輩に会える場所もある。それでも消えない不安。決意しても出てくる迷い。できれば目を背けたい不安をこのドラマは書いてくれる。島根に帰る日、みかは母親に電話をかけて、もう噂になってるよね、40女が戻ってくるってと聞く。母親は、噂なんて風と言う。きっと、面白おかしく噂にする人はいるだろう、みかも後悔するかもしれない、やっぱり負けたという気持ちもあるかもしれない。でも、このドラマでは誰もみかの決意を否定しない。中年の不安も迷いも、きちんとあるものとして書いてくれて、それを茶化したり否定したりせず、笑って包み込んでくる優しさに救われた。

あと、他の社員がスミレはパワハラなんかしていない、退職させないでほしいと前園に言ってきて、前園もスミレがいないと倉庫は回らないと人事部に伝えると、退職届をスミレに返す。この展開もよかった。みかに、自分は学がないからと言うスミレは、あなたにとってはくだらない仕事かもしれないけど、自分はこの職場で一生懸命働こうと思っていると言う。頑張ってきて他の社員に信頼されるようになったスミレと、出向を受け入れられないみか。考え方の違う2人を、考え方の違うまま書いてくれたのがよかった。