2021.4.17

昨日迷いに迷って仕事終わりに映画を見に行った。「パームスプリングス」というタイムループ物のコメディ。全然泣く要素がないのに、ボロボロ泣いてしまった。感想にはネタバレがあります。

パームスプリングスで行われる結婚式が舞台。主人公のナイルズはお調子者で、パーティで頼まれてもいないのにスピーチをするが、受けがよく場を盛り上げる。バーテンダーの女性にも気さくに接し、気に入られて人受けもいい。花嫁の姉、サラは家族から厄介者として扱われ、結婚式の雰囲気にもなじめていない。マイルズがサラを誘い、披露宴を抜け出す。いざ、となってマイルズが服を脱いだその時、矢が飛んできてマイルズに刺さる。超怒っている男が現れてマイルズを狙う。痛みに耐えながらマイルズが逃げた先は洞窟。心配してついてくるサラにくるなと怒鳴るマイルズ。それでも洞窟に入ってきたサラを光が包みこみ、はっと、目を覚ますと、結婚式当日の朝に戻っていた。

実はマイルズはこのタイムループをすでに何年も経験していた。思いつくことは、試せるものは全部してみたが、無駄だった。それを聞いても、なんとかこのタイムループから抜け出そうとするサラだが、すべてうまくいかず結局結婚式当日の朝に戻ってしまう。開き直ったサラはマイルズと好きなように生きる。この時の2人の振り切った演技やテンポのいい演出が面白く見れる。基本は気軽にみられるコメディなんだけど、ボロボロに泣いたのは、マイルズが何年も同じ状況と知ったことが大きい。なんとか抜け出そうと頑張ったけどできなくて、もう諦めて生きてきた。お調子者なのも、自分の辛さを隠すためなのかなと思ったら、自分と勝手に重ね合わせて泣けてきた。誰にも言えなかったんだね、マイルズ。

色々あって、サラはタイムループから抜け出す方法を編み出す。サラは当然マイルズも一緒に戻るものと思っていたが、マイルズは怖気づく。失敗したら死ぬかもしれない。そんなリスクを負うより、楽しいんだからこの人生を一緒に続ければいいじゃないかと思っている。しかし、サラの決意は堅い。サラは抱えている罪悪感があった。結婚式前日、妹の夫と寝たのだ。妹に対するコンプレックスからなのか、家族から厄介者扱いされているから、いっそそうなってやろうというある意味反抗心からなのか。サラにとって最後の結婚式、サラは妹に感謝の気持ちを述べる。一人で洞窟の前に立つサラ。そこにマイルズがやってくる。サラを失いたくないマイルズだが、この瞬間も決心がつかない。マイルズのタイムループの生活は、私たちの変わらない日常を、繰り返しの日常を象徴している。それを、リスクを負ってまで変える必要があるのか。問題がないならこのままでもいいじゃないか。でも、マイルズは一緒に明日を迎えたいサラと出会った。サラは自分の過去から自分を解放したかった。そのために2人は洞窟へ向かう。このいざって段階でも決心のつかないマイルズに、迷いながら転職活動中の自分を重ねて、ここでも泣いた。傍から見ると、こんなに情けないんだなと思い知った。

映画はテンポもよく、役者もいい役者がそろっていて、面白く見れる。最近悩みすぎて自分でも疲れていたから、コメディ見て、笑って癒されようと思ってたのに、笑うより泣く方が多かった。思っていたのとは自分の受け取り方が違っていたけど、見てよかった。癒されたかどうかはわかんないんだけど。

ここで、読み直して、マイルズを矢で撃ったロイのことに触れてないことに気がついた。JKシモンズが演じていて、なかなか良いキャラなので、気になったら見て。