2021.9.28

「おらおらでひとりいぐも」を見た。感想にはネタバレがあります。

夫を亡くし、2人の子どもも家を出て、一人暮らしの桃子さん。変わり映えのない毎日を送る桃子さんの前に、ある日さみしさが人間の形をして現れる。あんたらは誰だと聞くと、「おらだばおめだ」と返ってくる。

人の頭の中が映像化される話が好きなので、本作も楽しく見れた。さみしさの3人も、朝起きるとき「どうせ今日も何もない」と言ってくるどうせも、全部桃子さんの頭の中で起こっていること。桃子さんは夫のことを愛していて、幸せだったけど、夫が亡くなった時、これで自由になれると思ったことも、もっと自立して自分の力で生きた見たかったと思うことも、両方本当の気持ち。でも、桃子さん、20歳で親の決めた結婚が嫌で青森から一人で東京に出てきて、住み込みで働いて生活して、友達も作って、恋愛して結婚して子ども作って、家庭を切り盛りして、自分の力で人生切り拓いてきたように見える。他人からはそう見えても、本人にしか分からない、満たされない思いがあるというのが、人生なんだろうな。そんな桃子さんに、今までよく頑張りましたねって言ってくれるのも、自分なんだよね。本音をぶちまけるとき紙吹雪まいてくれるのも、さみしいとき一緒に踊ってくれるのも、前に進めなくなったとき背中を押してくれるのも、全部自分。家族がいようといまいと、人間は一人の人間として生きていかないといけない。その時々で助けてくれる人がいるかもしれないし、いないかもしれない。これからも一人暮らしをしてくであろう自分にはとてもいい映画だった。図書館の澤田さんみたいな人いるよね。顔が広くて多趣味で、桃子さんに断られても気にすることなく、また誘ってくれる人。一番ありがたい存在かもしれない。