2021.10.15

きみへの距離、1万キロ」を見た。感想にはネタバレがあります。

アメリカのデトロイトに住むゴードンは、北アフリカの石油パイプラインを遠隔で監視する仕事をしている。恋人に振られ落ち込むゴードンに、上司のピーターが次を見つけろと、マッチングアプリを進め、何人かと連絡を取るがうまくいかない。夜勤に入っているある時、ゴードンはカメラ越しに1人の女性に惹かれる。彼女はアユーシャ。カリムという恋人がいるが、父親ほど年の離れた別の男性と結婚させられそうになっている。アユーシャとカリムは国を出る計画を立てる。それには高額な費用が必要なため、カリムは石油を盗む仕事を請け負ってしまう。しかし、漏れた石油に引火し、カリムは火に包まれ亡くなってしまう。それをカメラ越しに見ていたゴードンは、アユーシャにある計画を持ち掛ける。

ゴードンが、別れた彼女に似ているからアユーシャに惹かれて、遠隔操作できるロボットで彼女の家や職場にストーカーして、カリムとの会話も盗聴する。これ、犯罪でしょう。カリムが亡くなったことを知ってショックを受けるアユーシャに、お金振り込んだから海外に逃げなよ、1年後パリで会おうと持ち掛けるなんてどうかしてる。パリに行きたきゃ一人で行け。なぜパリかというと、マッチングアプリでゴードンが使った写真の背景をみた女性が、「これパリの公園でしょう」と聞くが、ゴードンは海外に行ったことがない。なんでそれを引きずったのはわかんない。ゴードンのやることが全部独りよがり。アユーシャは確かに海外に逃げようとしていたけど、それはカリムと二人だったから決意できたこと。カリムが亡くなり、結婚の話は進められてはいるが、まずは、アユーシャの気持ちを確認すべき。命の危険もあるし、着いた先での生活もある。女一人で決行することの危険性を考えろ。アユーシャはゴードンのお金を受け取って、海外に逃げるんだけど、そこにアユーシャの意志が感じられない。ただ、話の流れで必要だからそうしますと受け取れてしまう。最後は、パリで無事に出会い、抱き合った二人。ゴードンがアユーシャのうなじのにおいをかいで終わる。これは、目の見えない老人がパイプラインの近くに迷い込み、道路までロボットでゴードンが案内する時の会話に由来する。老人は目が見えないから、人間が案内してくれていると思って話しかける。何でも聞いてくれという彼に、ゴードンは、「運命の人はどうやったらわかるのか」と聞く。すると、「うなじのにおいをかいで、いい匂いがしたらキスをしてどう感じるかだ。そこがよければ会話はいらない。そもそもいい匂いがしなければ会話をする意味がない」と言うんだけど、会話もしていない相手のうなじをかぐという暴力性に気が付いてほしい。会話をすることさえ手間と思うなら、恋愛向いていないと思う。