2021.12.10

「パリの調香師 しあわせの香りを探して」ネタバレあります。

アンヌはディオールなどのブランドと契約して香水を作っていた才能ある調香師だったが、仕事のストレスと多忙で嗅覚を失ってしまう。狭い業界で一度失敗したアンヌを使ってくれるところはなく、その後はエージェントが紹介してくれる細々とした仕事をこなしていた。アンヌが雇った運転手のギヨーム。娘との共同親権を得るため、仕事を失うわけにはいかず、気難しいと評判のアンヌの運転手を勤めることになる。偉そうに命令ばかりするアンヌとギヨームは衝突するが、一緒に仕事をするうちに2人は次第に打ち解けていく。また香水を作りたいと思い立ったアンヌだが、その矢先再び嗅覚を失ってしまう。

アンヌ見てて、「ローズメイカー」のエヴを思い出した。才能のある中年女性で、笑顔を振りまくこともなく、仕事中心自分中心の自分勝手。両方ともフランス映画だわね。アンヌは人と打ち解けることができず、それができてしまうギヨームにコンプレックスを抱いたのか、ふと思い立ってホテルの窓から見えるクラブに出かける。酒を頼むが、その後は誰とも話すことなく一人で座って酒を飲んで、酔って帰ってきて翌日の仕事に寝坊をする。この不器用さ、好感しかない。ギヨームは正社員じゃないから部屋を借りることも困難。共同親権を協議する担当者の心象もよくない。仕事では交通違反を繰り返し、免許の点数が危うい。経費をごまかそうとしたり、ちょっとこすいところがある。アンヌはそれをネタにギヨームを脅して運転以外の仕事をやらせる。2人とも欠点がある書かれ方で好感がもてる。仕事も私生活も上手くいかない2人が、互いのいいところ見つけ合って、助け合って、一緒に仕事をするようになる。それを恋愛関係にない中年の男女がやったのがよかった。

「騙し絵の牙」ネタバレあります。

老舗出版社「薫風社」の社長が急逝し、跡継ぎ争いが勃発。専務の東松か、息子の惟高かと目される中、惟高はアメリカへ行き、東松が社長に就任する。その東松の指示で、雑誌「トリニティ」の編集長、速水は雑誌の再編に取り掛かる。俺はフリーみたいな立場だからと言う速水は変わり者で、カルチャー雑誌にはそぐわない企画をばんばん立ち上げ、編集者を困惑させる。新人編集者の高野は、惚れ込んだ新人作家、矢代聖のデビュー作を雑誌に載せることが決まり、担当編集になりたいと意気込むが。

原作の小説自体が主人公に大泉洋をあて書きしたものらしく、はまり役。でも、最後に全部持っていくのは、松岡茉優。最高。速水が高野を矢代に近づけないようにする描写が多いから、もしかしたらこの人本物の矢代じゃないのかもと思ったら、それは当たってたんだけど、まさかの神座登場。でも、会見をすることで薫風社は小説薫風を失う。これ、今後の薫風社に必要なことだったのだろうかと考えてしまう。薫風社は生き残っていくためにアメリカの会社と提携し、雑誌の半分を廃刊、半分をWeb化する。小説薫風を廃刊にするための策だったのかもしれないけど、高野が小さな出版社と本屋を経営して、ここでしか買えない本を売るのに対するのなら、大手出版社だからできることを考えると、小説薫風みたいな文芸誌だと思うんだよね。私の考えが古いのかもしれないね。よかったのが、速水と江波がかつて恋人関係でしたとかって余計な設定がなかったこと。高野が速水に惹かれる設定もなくてよい。二階堂先生なら書きそうだけど、それは「女性観が古いです」と高野が釘をさしてくれるでしょう。おもしろかった。これだけの規模の映画でテーマソングないのが不思議だった。エンドロール見ながら、あれ、歌詞がないって思った。