2021.6.16

「神の薬じゃない!」を見た。感想にはネタバレがあります。

上海で精力増強剤を売るチョン・ヨンは、店の家賃も払えず、妻とも離婚、うだつの上がらない日々を送っていた。彼の元に白血病患者のリュが訪ねてくる。国内の薬は高くて買えないので、ジェネリックの薬をインドから密輸入して欲しいとリュから頼まれたチョンは、一度は断るが金が必要となり、引き受けることに。何とか輸入に成功し、薬を売りさばいたチョンは、インドの会社と代理店契約を結び、また仲間も得て薬の販路を拡げていく。事業はうまくいっていたが警察に目をつけれれたことからチョンは密輸入から手を引き、仲間もばらばらに。1年後、チョンの元にリュの妻が訪ねてくる。値段が高くて薬が買えなくなり、リュが自殺未遂をしたと知ったチョンは、再び密輸入をはじめるが。

DVDのパッケージの印象からコメディを想像したが、前半はコミカルな部分もあるが、後半は一転してシリアスになる作りで、おもしろかった。

チョンが密輸入しているのは金のためで、だから警察に目をつけられたら手を引くという決断を出来るが、白血病であるリュとボン・ハオ、娘が白血病のスーフェイと、白血病患者の信者を多く抱えるヤン牧師にとっては、薬は命そのもの。5人が別れる前半の終わりでは、チョンはこのことに気が付かないが、病院にリュを見舞って初めて気が付く。それを突き付けてくるのが、自殺したリュの葬儀の帰り、リュの元を訪れた沢山の白血病患者の目だ。リュの死をきっかけに再び密輸入を開始するが、国内の製薬会社が、自分の所より安い薬が出回るのを防ぐため、警察に手をまわし取り締まりを強化させ、またインドの工場にも圧力をかけて製造を中止させてしまう。そのため、ジェネリックの価格が高騰、でもチョンは言い値で仕入れ、今まで通りの価格で患者に売ることを決断する。リュもボン・ハオも失って、チョンは顔つきが変わってくる。患者のためにと腹を決めたのだ。チョンは結局捕まり裁判になる。裁判所からの帰り、チョンが載る車を、歩道に沢山の、チョンの薬で救われた沢山の患者が見送る。これは、予想できる演出になっているんだけど、くるってわかっていても泣いてしまった。そして、その患者の中にはリュとボン・ハオもいるんだよ。仲間の4人もいいキャラクターだったな。リウ牧師が突然、偽の薬を売って患者を食い物にしている博士の演説会で暴れるのは笑った。あと、スーフェイが、店のボーイが金に釣られてポールダンスするんだけど、その彼に「脱げ」って叫ぶんだけど、そん時の表情がね、辛いね。この時、スーフェイは客として店に来ているんだけど、ボーイの態度が失礼だし、帰りにチョンを家に上がて、チョンはやる気満々なんだけど、スーフェイの子供と会ってしまって、そしたらスーフェイが子供に聞こえないように静かにって言ってチョンの服を脱がそうとするんだけど、チョンは止めようって言って、彼女が娘の薬代のためにどんな扱いを受け入れてきたかが分かって、辛かった。もったいないのが、チョンの義理の弟のツァオ。彼は警官で、薬の取り締まりを任されていた。しかし、捜査を進めていくうちに、実はインドの薬が国内の薬と成分的にも効能も大差がなく、国内の製薬会社の圧力だと知る。また、ジェネリックのお陰で、国内の薬が高くて買えない多くの患者たちが救われていることを知り、悩みはじめ捜査から外されてしまう。そして、チョンがこの薬に関わっていることを知るんだけど、ここまで色々知っているのに、いまいち本筋に絡み切れいていない気がしてもったいない。