2020.10.22

ドラマ「THIS IS US」を見ている。ただいまシーズン2の途中。感想にはネタバレがあります。

今回はトビーという人物について書く。ドラマは、ジャックとレベッカの夫妻と、その子供ケヴィン、ケイト、ランダルが中心となって進む。レベッカは三つ子を妊娠していたが、1人は死産。同じ日に消防署の前に捨てられ病院に保護されていたランダルを養子として迎え、三つ子として育てる。成長し36歳になった三つ子の現在と、親となり子育てをしてく両親の当時が同時並行で進行するドラマだ。トビーは、ケイトの恋人役。なぜトビーのことを書くのかと言えば、彼が男らしさの害悪から解放されている人物だからだ。この男らしさの害悪からの解放というのは、映画やドラマを読み解く、最近のキーワードだ。

中心となる5人以外の登場人物は少しいい人に書かれている傾向はあるが、それを差し引いてもトビーはいいやつである。トビーはケヴィンに嫉妬している。そしてそれを自覚している。ケヴィンは有名俳優で格好良くて、しゃれた店なんかも知っている。ケイトとケヴィンは繋がりが強く、ケイトはトビーよりも先にケヴィンに悩みを相談したり、意見を尊重したり、ケヴィンとのことを優先したりする。トビーはその不満をケイトにもケヴィンにも伝える。伝えられるということは、自分が何を不満に思っているか、相手にどうしてほしいのかを自覚しているからだ。不機嫌になってケイトに察してもらおうという甘えた行動はとらない。

逆に男らしさに縛られているのが、ジャックとケヴィンだ。ケヴィンは撮影中に膝を怪我する。以前も同じ場所に怪我を負っており、その影響でフットボールの競技人生を諦めた経験があった。今回も怪我が原因で映画の撮影に影響を与えてしまう。ケヴィンは膝を手術するが、早く現場に復帰しなくてはとの焦りから、安静にするようにとの指示に従わず、勝手にリハビリを始めてしまう。結果、痛みは引かず酒と鎮痛剤を大量に摂取するはめに。けがをした後、ケヴィンは録画してあった自分のフットボールの試合を見る。そこには、うちの息子は強いんだと喜ぶ父・ジャックが映っている。父の思う強い男にならなくてはと、ケヴィンは思ったのだろうか。シーズン2に入って、ジャックがアルコール依存症を抱えていることが明らかになる。ジャックも自身の父親との関係にわだかまりを抱えている。8話(かな?)で、酒を飲まないように耐えるジャックの姿を、複雑な表情で見ている高校生のケヴィンの様子が映る場面がある。その後の対応から、ケヴィンはこの父親の姿を「弱さ」と捉えたのではないかと伺わせるシーンがある。依存症は本人の意思が強さでは解決できないものだが、この捉え方が、今後の親子関係に影響してきそうだ。

ケヴィンは辛さをケイトにも、恋人のソフィーにも打ち明けられない。唯一打ち明けたのが、トビーだった。前述した古傷の話も、トビーに話すシーンで明らかになる。トビー、すごい男だよ。

トビーのシーンで好きなのは、たくさんあるけど、今回書くのは、ケイトが初めてステージで歌うことになったシーン。ケイトは母親のレベッカにコンプレックスを抱いていて、このステージを見に来てほしくないと思っている。しかし、トビーは断り切れずに連れてきてしまう。歌い終わったケイトに、レベッカは褒めると同時にアドバイスをしようとする。それに反発するケイト。2人になったトビーはレベッカに、あなたに気に入られたいと思っているけど(トビーは過去に大事な場面で心臓発作を起こし、そのことでレベッカに悪い印象を与えてしまったのではと気にしている)、俺はどんなときでもケイトの味方ですと正直に伝える。字幕ではケイトの味方となっていたが、音声は「チームケイト」って聞こえた。いい響き。トビーは人として信頼ができる。

「THIS IS US」は、シーズン6まで制作が決定しているという。シーズン1では36歳だった三つ子も、2では37歳になっている。じゃあシーズン6では42歳かな?この中年に差し掛かるあたりから中年になるあたりを追っていくドラマは今の自分にとっては貴重なので、見続けていこうと思う。