2020.12.1

「トレジャーハンタークミコ」を見た。感想にはネタバレがあります。

東京で働くクミコ、29歳。職場にはなじめず、仕事に身が入らない。社長からはみんなは25くらいで結婚して辞めてた言われ、後任の若い女性が採用される。人付き合いも苦手で、昔の友人と会っても途中で逃げ出してきまう。親からは早く結婚しろ、相手はいないのかと電話がかかってくる。クミコは映画「ファーゴ」のVHSを繰り返し見て、大金が埋めれらた場所を検証している。なんもかんもが上手くいっていないクミコは、宝を求めて映画の舞台、ミネソタへ向かう。 

クミコは人生に行き詰っていて、友達もいない、職場の同僚ともなじめない、部屋は暗くて汚い、食事はカップラーメンという描写がどうにも、ステレオタイプな気がして、それによってクミコの孤独を際立たせたかったのかもしれないけど、別に孤独でも明るい部屋に住んでてもいいと思うし、友達いてもいいと思う。クミコが固執したのがなぜファーゴなのかはわからないけど、これがあれば人生かわるかもしれないと、そう思ってしまった気持ちは理解できる。クミコにお金がないとう描写が徹底されていてそこはよかった。会社のカードで航空券買ったり、カード使えなくなったらホテル代、タクシー代を踏み倒したり。警官が心配してご飯食べさせてくれたり、防寒具買ってくれたりして親切にしてくれるんだけど、それにキスで返すクミコ。クミコの対人関係の下手さが表現されていた。結局クミコは宝を見つけることができない。ラストは大金を掘り当てる夢で終わる。きっとクミコは亡くなったんだろうと思わせる終わり方。

クミコは昔は仕事が好きだったみたいなセリフがあったけど、いつから遅刻を繰り返すようになったんだろうと考えると、社長も親も年齢でクミコを測っている。社長のみんな25で結婚して辞めてるって言葉からすると、会社の同僚たちは20代前半の可能性が高い。偶然会う友人も5歳の子がいる。この年齢なら結婚していなきゃ、子どもがいなきゃ、クミコ本人の意思は無視して、年齢だけで判断される。年齢だけで判断されると、クミコは落ちこぼれだ。周囲からそう思われて、そう扱われて、クミコは無気力になってしまったんじゃないかな。34歳でしていなきゃいけないことなんてない(うろ覚え)、って言ったのはすいかの崎谷教授だ。でも、現実では社会が許してくれない。だからって自分までその価値観で自分を測らなくていいとは分かっているけど、崎谷教授みたいに生きられるのは特別な人間だけなんだろうなともやっかんでしまう(ドラマすいかも、崎谷教授も好きですよ)。せめて自分だけは自分も他人もその価値観で測らない。それだけでもできるようになりたい。