2020.12.17

久々に自分の声聞いたら、低くなってた。嬉しい。自分の声が高くて嫌いだった。子供っぽく感じて、低くて落ち着いた声の人がうらやましかった。年をとってもいいことはあるもんだ。

20代の時は本当に年を取ることが怖かった。今考えると何をそんなに怯えていたんだろうと思うし、大丈夫だ、年を取ることは全然怖いことじゃないって言ってあげるけど、怖かったんだから仕方ない。世間は女は若くなければ価値がない、いつまでも若くいろという脅しに溢れている。

ネットフリックスのオリジナル番組、クイアアイの日本版で、水原希子さんが日本には女を降りるという表現があると言って、メンバーが何それって、理解できないという場面が出てくる。でも、女は女を降りらない。女を降りたら、女を降りた女になるだけだ。この初回にヨーコさんという女性が出てくる。忘れてしまったけど、確か50代後半だったような。彼女が鮮やかなグリーンのコートを着たとき、それはとても似合っていて、ヨーコさんも嬉しそうにしている。そしてこう言う。「こういう色はあなた(水原さんのこと)みたいじゃないと着てはいけないと思っていた」そして、若いだけではだめなのだ。若くてきれいで痩せていないと、世間では女に価値はないのだ。

中年になって若い頃より楽になったのは、世間の脅しに気が付いたからかもしれない。若くてきれいで痩せていないと価値がないの価値は、誰にとっての価値なのか。利益を生みたい企業にとって、女性を支配した男性にとって。そのための価値なら、自分には必要ないと気が付けたからかもしれない。

とはいっても、この呪いから逃れることは難しい。以前しわ予防に効果のあるクリームを使っていた。去年趣味の活動にお金がかかってしまい、節約のため買うのをやめたが、コロナの影響で趣味にお金がかからなくなったので、また買おうかなと考えていた。自分がしわのない顔でいたいなら、買うという選択もありなんだけど、自分がそうしたいのか、世間で言われてるからしたいのか、分からなくて、迷っている。若さだけが価値ではないと思っているくせに、老いの象徴のひとつであるしわを受け入れられないのは、やっぱり自分の中に、若さという価値を失いたくないという思いがあるからなのか。

最近は、中年の女性たちが「楽しいよ」「こんなこともあるよ」って発信してくれる記事や音声があって、そういうのに触れることで、年を取るのは怖いことじゃないと思えるのかもしれない。年はどうしたって取るのだし、人生80年と言われる時代は若くない時代の方が長いに決まってるんだから、脅しや呪いに気が付いて、彼女たちみたいに楽しく生きていきたい。