2022.1.15
「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」が再放送されている。昨年評判になったドラマだけど見逃していたので大変助かっている。タイトルは比喩でもなんでもなく、本当に人の心の声が聞ける魔法使いになってしまう設定だった。その魔法で、主人公の安達は、同僚の黒沢が自分に思いを寄せていることを知ってしまう。黒沢の心の声が安達にだけ聞こえるので、黒沢は表面上はただの同僚として振る舞っているようにしか見えないわけ。だからさ、黒沢は何にも悪くないんだよ。心の中で安達のことかわいいって思っていても態度に出さないから、何にも悪くないんだけど、人からこういう目線を向けられることが苦手だった自分としては、ちょっと見ていて苦痛になってくる。ただ、安達が2話で、黒沢は何も知らないのに、こっちが自分の都合で態度を変えて悪かったなって反省するシーンがあって、そこが好き。安達いいやつ。あと、黒沢の後輩が、安達の仕事を黒沢が手伝ったことを知って、忙しいのにそんなことまでって、憤って、その後安達が黒沢に感謝したら自分のことのように喜んでいるの、面白かった。会社の女性社員が黒沢ファン設定になっているけど、この後輩が一番のファンぽい。
「40歳超えた女は透明人間になれるらしい」が昨日放送された。昨日、職場で20代女性3人と、40代の自分、50代の男性って構成でいたら、50代男性が私にだけ話振ってこなかった。後でそういえばと気が付いたんだけど、話しかけられなくてショックとか腹が立つとか、若い女性に怒るとか、そういった感情はなく、楽。ただひたすらに楽と思った。さっき、「人からこういう目線を向けられることが苦手」って書いたけど、これともつながってきて、中年になるとこういう視線を向けられることがなくなって、本当に快適。早く透明人間になりたかった。40過ぎると女は楽になるとは聞いていたけど、本当だった。思っていた以上だった。若くないと価値はないというのは嘘だった。もちろん、年を取ったなりの悩みもあるけど、それは若くても若いなりの悩みがあるのと一緒。ただ、仕事の能力もキャリアも身につかなかった自分としては、若いのがうらやましい時もあるのが正直なところ。だって、求人探すと、キャリア形成のため30歳までとか35歳までとかたくさんあるし。もう考えてもしかたない、割り切ろうと思っているのに、まだできない。
「女たちのジハード」を読んだ。1997年の直木賞受賞作。保険会社に勤める、30代の康子、20代のリサと紗織、19歳の紀子が主な登場人物。他に康子と同年代で社内結婚をした唯一の既婚者、みどりもいる。彼女たちに訪れる転機が全部男がらみなのが気になるんだけど、決断は自分でする辺りはよかった。康子がマンション買うのに決行した行動が大胆で面白かった。でも、マンション買うのに、康子たちの勤める会社では年利のいい社内の貯蓄ができるのも、金利が安いローンが組めるもの男性だけ。チャリティで送る大量の古着を仕分けるシーンで、紗織が仕切らなければならないとなった時、男性社員にはこういう機会が与えられているのに、女性社員にはないと気が付いたり、みどりが夫の出世と引き換えに地方に飛ばされたり、仕事における女性差別の書かれ方が細やかでよかった。3回プロポーズのシーンが出てくるんだけど、全部、数回しかあっていないし、なんなら付き合ってもいないのに、突然結婚となるのはなんでなんだろうと思った。みどり以外の4人は大胆な決断に出て、その後が書かれないのでどうなっているのか分からない。康子はうまくいきそう、というかうまくいかなくても彼女は「負けへんで」精神が強いので、なんとかやっていきそう。リサと紗織は正直分からない。でも、二人とも実家太そうだし、いざとなったら文句は言われるけど頼れる実家があるのは大きい。一番心配なのが紀子。彼女は2度目の結婚を決めてから一度も出てこない。でも、最初の結婚で身の危険を感じたとき逃げ出して、康子に頼ることができる子だったので、何も言ってこないということは、うまくいってる証拠にも思える。一番堅実なのがみどり。みどりは賢い。私もみどりのように、結婚はしたくないけど、子どももいらないけど、生きたかった。会社に居場所がないと思ったらさっと辞めて、それまでの仕事を活かした資格を取って、ママ友巻き込んで金融の勉強会を始めて、ネットワークを築いていく。みどりの「負けへんで」精神強い。あ、でも、会社辞められたのも、出世した夫の給料があるからだよね。驚いたのが、14年勤続の康子の年収が540万だったこと。ということは、男でさらに出世コース乗ったのなら、もっとあるよね。しかし、540万てすごくない。25年前でも高いのかな、このくらいだったのかな。康子は倹約家で貯金も3千万あった。ボーナスも7桁だったって書いてあった。うろ覚えだけど、社内預金の年利は7%だった記憶。今なんてあってもないような数字じゃん。康子がデパートで衝動買いするイタリア製のニットドレスは36万だよ。最初、読み間違えかと思った。36万のニットドレスを現金一括で買えることが豊かさとは言い切れないけど、ただ選択肢があることは豊かさなのかなと思った。