2020.12.18

ライフスパン」を読み終わった。老化は病気だから治療できる。人が老化するのは当たり前のことだと思っていたので、なんで老化するのかなんて考えたことがなかった。著者は子どもの頃から疑問に思っていたらしい。本書はどんな研究がおこなわれてきたか(過去)、何が起こっているか(現在)、どうなるか(未来)の3部構成で、過去は太古の昔からはじまる。沢山の細胞が死んでいくなか、唯一生き残れた細胞は何が違ったのか。学生時代理科に興味がなくてあまり勉強してこなかったからか、本書はとても読みやすく書かれているとは思うが、それでも難しかった。でも、新しいことを知れてそれはそれで楽しかった。現在、老化は病気だとは認められていないので、補助金も少ないし研究も進まないという。老化を治療できれば他の病気にもかかりにくくなるし、寿命も健康寿命も延びる、年をとっても体のあちこちが痛むこともなく活動的でいられるし、しわやシミもできず見た目も若々しくいられるという。読み始めたときは、いいことしかないじゃんと思ったが、未来のパートを読み進めて、暗くなってしまった。

人類が長生きすると考えられるいくつかの問題が、そこには書かれている。例えば、環境の問題、食料は足りるのか、格差は広がるのではないか、古い考えを持った人が長く国のトップにとどまることによる弊害などなど。著者は問題点を上げながらも、科学が進歩し、解決を助けてくれると希望的観測を持つ。これらの問題に詳しくはないが、ちょっと楽観的過ぎる気がした。前にも書いたように、食事の回数や量を減らす、負荷をかけた運動をする、寒いところで過ごすなど、長寿遺伝子にストレスを与えることが必要で、後半にはそれらも含め、著者が取り組んでいることが書かれている。具体的な名前は出していないが、摂取しているサプリをどういった基準で選ぶかも書かれていて、その基準で商品を調べて見たら値段が高かった。海外で買ったらもう少し安いのかもしれないけど。それを、家族だけではなく飼っている3匹の犬にも飲ませていると知って、格差を思い知った。正直、金銭的に余裕のある著者への僻みもあるが、コロナで格差があぶり出され、特に女性や子どもを被害を被っている中、高いサプリを継続して飲めるなんて、いいですね、さすが持っている人は違いますねって思ってしまった。著者は長く生きても仕事をするのが楽しみだという。死ぬまで健康ではいたいけど、長く生きる分仕事をしないといけないくなるのはきついな。この仕事を死ぬまでと考えると、無理。完全に僻みなのは分かっているが、著者は仕事で成功して、自分の好きなことできて、仲間もにも職場にも恵まれてていいですねって思った。長く生きた人が働くのはその経験を現場に返せるって書いてたけど、「マイ・インターン」のロバート・デ・ニーロレベルじゃないと、若い人たちは一緒に働きたくないと思うよ。

格差によって寿命が決まるのは、すでにそうなっている。コロナの状況で本書を読むと、それがさらに進むとしか思えなかった。