2021.2.2

「ここは今から倫理です。」の第3話。ネタバレありです。

物理教師の松田が高柳に、教師と生徒の恋愛をどう思うかと聞いてくる。松田は深川という生徒のことが気になっている。深川は過去に高柳のことをセクハラで訴えたことがあるが、それは嘘だった。大人が慌てるところを見たいという理由で、深川はセクハラされたと嘘をつき、松田に対して思わせぶりな態度をとってもてあそぶ。高柳は松田に、アイデンティティが確立されていない青年期の子供と、大人のあなたとでは対等な関係とは言えない、それは愛ですか、性的欲求ですか、と問う。高柳、まっとうなこと言ってる。それを受けて松田は、深川のことを愛してしまったと言う。え、何言ってんのと思ったけど、だからこそ彼女の行動をやめさせようとしたセリフが続くので少し安心した。松田は深川に、君に触れてしまってごめんなさいと謝る。思い出したのが、第1話で、乱暴されていたいち子を助けた後の高柳の行動。セリフはうろおぼえだけど、背中をさすって慰めてやることもできないって言って、女性の保健室の先生に任せていた。これで、このドラマに対する信頼度がぐっと上がった。

深川がこういった行動に出るのは、日本一かわいい女子高生と言われている妹、杏奈の存在がある。子どもの頃から比べられてきて、心無い言葉もかけられてきたのだろう。深川に対して、高柳はソクラテスの「たえず自分を鏡に映し、美しければそれにふさわしい人になるように、醜ければ教養によってその姿を隠すように」という言葉を伝える。深川は私はブスだから勉強しろってこと?と言う。

ホームページによると、この言葉は深川が受け取ったような意味ではないという。「鏡に映っているものはさほど重要なことではない、鏡には本当のあなたは映らない」という意味で、鏡には「真の自分、すなわち「魂」のありようは」映らない。魂とは、心の在り方や生き様だと言う。では、どう魂と向き合うかといえば、それは他人だと書いている。「表面的な部分についてあれこれ言ってくるような人たちではダメで、あなたの魂と付き合おうとしてくれる人でなければなりません。」ドラマの中で、高柳が松田の鏡になっているようにみえると書いている。高柳が松田にしたことは、松田を判断しようとせず、問いかけてことだ。それは愛ですか、性的欲求ですか、と。

私はブスだからと言う深川に、松田は深川さんはきれいだと言うが、深川には響かない。ひとつ気になったのが、松田が高柳の問いを考えている時に思い出す深川は、寄せてきた胸元だったり、飴をなめる口元だったり、友達と笑っている姿、授業を受けている姿なんだけど、このセリフを言うときに思い出すのが、これらの深川ではなく、黒板に書かれた松田の悪口を消している深川なんだよね。魂のありようってこういうことなんだろうと思った。でも、深川には響かないんだよね、だって松田そのこと言ってないもん。

誤解したまま教室を出ていこうとする深川。そこに学校祭のイベント、ミスコンで杏奈が優勝したという司会者の言葉が聞こえてくる。ミスコンの是非については触れられていないが、この回にミスコンがあることで、ドラマのメッセージは伝わってくる。そして、杏奈の顔を映さなかったのも、それに一役買っている、いい作りだなと思った。そして、松田の飲みの誘いを、「仕事は直帰がモットーなので」と断る高柳は、どこまでも高柳だ。